2017年7月28日、特別防衛観察の調査結果を公表した上で南スーダン・ジューバー【 Juba 】への派遣施設隊の日々報告書、いわゆる日報問題に対して責任を取り「 稲田朋美防衛大臣 」【 58 】が引責辞任[ resignation ]した。
午前中の閣議後に安倍晋三首相【 62 】に辞表を提出し受理されたが、後任には岸田文雄外務大臣【 60 】が兼任で防衛大臣を務める。
PKO日報を最初から出せない理由[ resignation ]
稲田防衛大臣といえば、先の東京都議選の応援演説でも公職選挙法で禁じられている「 防衛相としての立場で、お願いしたい 」などと発言し、騒動を巻き起こして話題になった閣僚だ。
さらに、これと前後して九州地方の
豪雨災害時に防衛省に稲田大臣を含む
政務三役が40分もの間、不在だったことも
問題視されたばかりである。
安倍政権の閣僚辞任は稲田防衛大臣の先にも
4月に今村雅弘元復興大臣【 70 】が
失言の責任を取って辞任されたばかりである。
今回、稲田防衛相が辞任された直接の原因は
「 日報問題 」で自衛隊のPKO日報が
廃棄したとしながらも陸自にもデータが残っており
非公表とした問題の責任を取る形だ。
データが有ったとか、いや無いとか
話しが二転三転した事で
「 私は防衛省自衛隊を指揮監督する防衛大臣として
指導力不足だった責任を痛感しており
防衛大臣としての職を辞する事と
致しました。」との意向を述べられた。
今回辞めたのは稲田防衛大臣のみでなく、
事務方TOPの黒江哲郎事務次官【 59 】が本日付で
依願退職され、岡部俊哉陸上幕僚長【 58 】も引責辞任されている。
以上が今回の稲田防衛大臣が辞任された、
ざっくりとした経緯だが多くのニュースサイトでは
「 なぜ自衛隊や防衛省はPKOの日報を隠そうとしたのか? 」
という問題に突っ込んで言及していない。
殆どのニュースサイトは「 日報が有ったか無かったか?
誰それがデータが有ると言った言わない 」
から隠ぺいじゃないのか?という疑問に
終始されているが、自衛隊の南スーダン・ジューバーへの
PKO( 国連平和維持活動 )派遣自体は、
「 南スーダン国際平和協力業務実施計画 」という、
いわば人助けなのだから、
コソコソ隠す必要など無いはずだ。
それを、なぜ隠そうとしなければ、
ならなかったのか?
記事タイトルの答えを、ここに結論付けるなれば
本来あっては、ならない「 戦闘 」が
有った事実が日報に記載されていたからである!↓
上のURLリンクから飛んだ先のサイトでは
黒塗り部分が多いながらも
全ての日報データが閲覧できる。
日本の自衛隊をPKO活動に出す際は
1992年に成立したPKO協力法案に則った形で
参加する、というのが大前提の「 参加五原則 」がある。
- 紛争当事者間で停戦合意の地域に限定
- 派遣先の国の許可を得ている事
- 日本に中立的立場が保持される事
- 要件が満たせない時には即時撤退が出来る事
- 兵器の使用は禁止では無いが必要最小限度に
要は「 戦闘 」という記述表現は、
上記のPKO参加5原則に触れるのだが、
上のURLリンクから飛べる日報の記述内容には
戦闘という記載が有るので、この日報を
出すわけには行かなかったのである。
結果的に「 武力衝突 」という表現を使った
報告に落ち着いたが、前述したように
稲田大臣のシビリアン・コントロール
【 文民統制:文民の政治家が軍隊を統率する意 】
が十分に効いて居なかった自らの指導力不足などを
鑑み、辞任する意向を示した。
次章では稲田防衛大臣が「 心当たりが無い 」と
言い切った防衛省内部のメモ帳に付いての
徹底検証を行って参る所存。
稲田大臣に報告したというメモ帳
ところで特別防衛観察の調査結果に引っかかる一文が有る。
「 日報のデータが存在することを報告した
可能性は否定できない 」という文言である。
つまり、稲田防衛大臣へ不存在である筈の
日報のデータが「 ある 」と報告したかも
知れないよ?とする含みを持たせる記述である。
これが、FNNが入手したとされる
防衛省内部のメモであり、2月13日の
会議の日報データが残っていたと
報告を受ける様子が克明に記録されていた。
辰巳昌良統合幕僚監部総括官【 57 】
「 破棄漏れがある 」
稲田大臣「 7/7から12日のも
有ったということ?」
湯浅悟郎陸上幕僚副長
「 データは有ったかと言うと有った 」
稲田大臣「 明日なんて答えよう… 」等の、
やり取りが記されているらしいが、
記者会見場で追及された稲田防衛相は終始
「 テレビは見たがメモは知らない! 」の、
1点張りで通したのである。
辞表を受理した安倍晋三総理は
稲田防衛大臣からの辞表を受理した安倍首相は
「 大臣の意志を尊重し辞表を受理する事とした
閣僚の任命責任は全て総理大臣たる
私に有る 」とコメントしていた。
《総理の動き》本日(7月28日)安倍総理は官邸で会見を行いました。総理は、稲田防衛大臣の辞任等について述べました。https://t.co/KSWGSb1udN pic.twitter.com/ZFB9B86p7M
— 首相官邸 (@kantei) 2017年7月28日
どのみち稲田防衛相は来月3日に行われる
安倍内閣の改造で更迭は必至だった様である。
とある自民党の議員は「 遅きに失した 」
などと、ぼやいたそうだが自民党政権の
問題点は稲田大臣1人だけの原因では
無いのは自明の理であろう。
今回は大臣辞任という結末を迎えた
稲田防衛大臣だが、「 ともちん 」などという
愛称もありネトウヨからは人気を博しているのだそう。
たしかに「 稲田防衛大臣 」と検索すると
「 かわいい 」などという複合キーワードが
出てくるのは、稲田氏の人徳なのだろうか。
自民党内部でも「 ポスト安倍晋三 」などと
もてはやされていた稲田防衛相だが、
もう少し力量が有れば、と悔やまれてならない。
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